ふぁんたろうの徒然草

イングランドプレミアリーグ、チェルシー中心に色々語るマンです。選手紹介から寸評までなんでもござれ。

エデン・アザールが移籍する前に言っておきたいこと

こんにちは。とんでもなく暑い日が続きますがクーラーの下快適に過ごしている私です。

 

さて熱いと言えばW杯もとうとう終わりですね。今書いている段階では3位決定戦のベルギーvsイングランド(2-0)が終わり、いよいよ残すは決勝のみとなりました。

 

と同時に裏では各クラブの新シーズンに向けた補強や人員整理が進んでいます。「今はW杯に集中する」と言って去就を保留していた選手たちも敗退に伴い徐々に市場が活発になってきた感があります。

 

そんな中チェルシーサポが最も気になるのはベルギーのエース、エデン・アザールの今後でしょう。普段は徒然なるままに思いついた戦術や備忘録的な戦評を書いている当ブログですが、今回は一サポーターとしての感情を綴っていこうと思います。

ご存知の通りこうした噂に関して語ってもなんら意味はないのですが、今日はあくまで感想なので、ご容赦を。

 

エデン・アザール、6年の日々

アザールがリールからやってきた時、決してチェルシーが移籍先として大本命というわけではなかった。フランス・リーグ1では得点王へあと1点に迫り、アシストランキングではトップ。誰もが認める次世代エースのステップアップ先はどこかと世界中が注目していた。

だがその中心にいたのはプレミアリーグでこそあれ、ロンドンではなかった。「マンチェスターの赤か青か。」11-12シーズンに壮絶な優勝争いを演じていたこの2チームに移籍するものと誰もが信じていた。

 

だからこそ「欧州チャンピオンズリーグ王者に移籍する」と公表したときは大きな驚きを持って受け入れられた。今思えばチェルシーというクラブ、そしてクラブ史上初となるビッグイヤー獲得に大きく貢献したレジェンド、ディディエ・ドログバの最後の置き土産だったのかもしれない。それからの6年、チェルシーは常にアザールを中心に歩み続けた。

 

f:id:fantarou_bluuues:20180715134735j:image(telegraphより)リールよりチェルシーへの移籍を発表した

 

チェルシーのエースとして

12-13シーズンの開幕からアザールは本領を発揮する。当たりが強く、多少のフィジカルコンタクトでは笛が鳴らない。そんなプレミアリーグにもすぐに適応した。

軽やかなステップ、鋭いターン、細身ながら倒れない体幹の強さ、そして敵陣を切り裂くドリブル突破。初年度からチームの中心として躍動した。

CLは早期敗退を喫し、クラブワールドカップ(CWC)でも苦汁をなめたが、前年6位のチームは3位に、さらのELのトロフィーがチームの歴史に新たに加わった。

 

13-14シーズンはさらに得点力にも磨きをかけた。プレミア初挑戦となった前シーズンの9ゴールを上回る14ゴールを挙げた。2シーズン連続で年間ベストイレブンに名を連ねた。この第2次ジョゼ・モウリーニョ政権は惜しくも優勝こそ逃したが、翌シーズンは圧倒的な強さで開幕から首位を快走する。またファン・マヌエル・マタの移籍に伴い14-15シーズンからは背番号を17から10に変更。名実ともにチェルシーの顔、そして中核になった。

同シーズンでチェルシーは5年ぶりとなるプレミアリーグ奪還に加えキャピタル・ワン・カップも制覇。アザール自身もキャリアハイとなる公式戦19ゴールを記録。リーグ優勝を決めたクリスタルパレス戦では決勝点もマークした。さらにシーズン終了後にはリーグ年間最優秀選手賞、(選手が選ぶ)PFA年間最優秀選手賞、(記者が選ぶ)FWA年間最優秀選手賞の個人賞を総なめにする。

 

エデン・アザール。彼はいつの間にかチェルシーだけでなくプレミアリーグ最高の選手へとその階段を着実に上って行った。

 

例のシーズン

こうなってくると他チームからの視線も熱を帯びてくる。特にレアル・マドリードが注視しているのはもはや周知の事実であった。

迎えた15-16シーズン。チームは過去最低と言ってもいい滑り出しをしてしまう。失点ばかりがかさみ、勝点が積み上げられない。連覇どころか降格圏に片足が入っていた。

チームの不振に引き寄せられるがごとく、いやアザールの不振にチームが引き寄せられていたのか、コンディション不良で、崩壊するチームの力になれない。

モウリーニョはチームを去り、10番のリーグ初ゴールは35節まで待った。「同じロンドンのチームの優勝は見たくない」とトッテナムの優勝を阻止する同点弾で意地こそ見せたが、結局リーグ戦はわずか4ゴール。チームは降格こそ免れたが前年優勝チームの最低順位を更新する10位でシーズンを終えた。

 

まさに地獄のシーズンではあったがCL権をチェルシーが失ったことはアザールを狙う他チーム、特にレアルにとっては僥倖だったであろう。アザール自身が「アイドル」と公言してはばからないジネディーヌ・ジダンの監督就任も移籍の後押しになるかと思われた。

 

 

コンテ政権

しかし大方の予想に反して決着はあっさりと着いた。「やり残したことがある」。力強い言葉は紛れもない残留宣言だった。

16-17シーズン、ベルギーの雄は輝きを取り戻す。圧巻のパフォーマンスであげた16ゴールはリーグ戦自己最多。戦犯とされた前シーズンの姿はもうそこにはなかった。

きわめつけはホームでのビッグロンドンダービー。ハーフウェーラインでボールを持つとそのまま加速。追いすがるフランシス・コクランを弾き飛ばすと巧みなフェイントでローラン・コシェルニーらDF陣を一瞬で破壊。最後はかつての同僚ペトル・チェフの鼻先で浮かせた。才能あふれるゴールはライバルを蹴落とす決勝弾。サポーターは勝利の美酒とアザールの美技に酔いしれた。

 

f:id:fantarou_bluuues:20180715134603j:imageサッカーキングより)恒例のゴールパフォーマンス

 

当時のリーグ記録に並ぶ13連勝など破竹の勢いで勝点を積み重ね、そのままチームは優勝を果たす。中心にいたのは完全復活を果たした10番であった。

 

迎えた翌シーズン、ケガでの出遅れを取り返すかごとく復帰後からハイパフォーマンスを見せる。ところが補強の失敗やケガ人、出場停止でベストメンバーがそろわないまま戦うことによりチームは低迷。FA杯こそ制したもののリーグ戦は5位に終わった。

 

再びCL権を逃したことで移籍報道は再び過熱。しかしアザール自身は「W杯に集中する」と去就に関して多くは語らなかった。

 

W杯での活躍

アザールはそのW杯でも極上の輝きを見せる。ベルギーを史上最高順位である3位に導き、自身は3度のMOMを獲得した。格下相手にしっかりと得点するだけでなく、強豪ブラジル相手には10度のドリブル突破を全て成功させる。大会新記録を樹立し、セレソン撃破の立役者の1人となった。

フランス戦では同胞エンゴロ・カンテの守備にも苦戦し惜敗。しかし3位決定戦では鮮やかなタッチでマンチェスター・Uのフィル・ジョーンズを翻弄しゴールを奪う。

W杯という大舞台で、彼が世界屈指のプレーヤーであることを世界中に見せつけた。

 

f:id:fantarou_bluuues:20180715134947j:imageサッカーキングより)代表ではキャプテンマークを巻く。

 

 

移籍願望

3位で大会を終えたアザールはようやく本格的に自身の去就に関して語った。

チェルシーでの6年間の後、何か違うものを見つける時だ」

「最後に決めるのはクラブだ」

そして

「もし許可してくれれば、どこに行きたいかは知っているだろう」と。

 

移籍先として最有力とみられているレアルも変革の時を迎えている。長らくレアルのみならずサッカー界を牽引してきたクリスティアーノ・ロナウドが退団。CL三連覇の偉業を果たしたジダン監督も電撃辞任した。

 

さらにアザールももう若くはない。27歳と脂が乗りきる時期も近く、移籍するチャンスはそう多くない。

 

チェルシーも新監督、マウリシオ・サッリとともに新たなチームになることがつい先日決まったばかりだ。

CL権がないこと、W杯での自身の活躍もアザールの移籍に追い風になるだろう。

 

「その時」は、確かに迫っている。

 

サポーターとして

移籍願望ともとれるアザールの発言だったが、チェルシーサポーターの反応は冷静だった。

「仕方ない」

「応援している」

バロンドールとるには正しい」

 

そしてなにより

「今までのチームへの貢献を考えれば、彼の意思を尊重すべきだ」

という声が一番多く聞かれた。

 

これは完全な推測なのだが、チェルシーアザールを見れば見るほど、特に昨季のような低調なチームの中でプレーするのを見れば見るほど、「レジェンドになってほしい」と熱望するサポーターの心の中に、どこか「このチームに収まる存在ではない」という思いが生まれていたのではないかと思うのだ。

 

アザールにはもっと上に行って欲しい」。そんな思いが、残留を願う心とは裏腹に、確かにあったような気がする。

 

もちろんそう思わせてくれるのはアザール自身のおかげだ。

レアルでも十分やっていけるだけのスキルのみならず、何度も移籍の噂が囁かれながら残留し、チェルシーに最大限の貢献をしてくれたその心もだ。

 

嬉しい時も辛い時も、チームの為にここまでやってくれたんだから、最後は彼の意思を尊重したいというのが、偽らざるサポーターの思いである。

 

願わくば近年リオネル・メッシロナウドに独占されてきたバロンドールを取ってほしいものである。そうすれば我々も鼻高々だ。

「アイツは俺たちが育てた」

「ダービーのゴールはすごかったんだぞ」

「いや、スパーズ戦の一撃だよ」

「あのシーズンはダメダメだったけどな笑」

「クリパレ戦の決勝点は珍しくヘッドだったんだ」

「ボールボーイはもう蹴んなよww」

そんなことを笑顔で、しかし少し寂し気に我々は振り返るのだろう。

 

お別れの前に

なんてまるで移籍決定したかのように書いているが、まだ正式には何も進んでいない。アザールチェルシーの選手だし、レアルだって何もアクションを起こしてはいない。

ただどんな選手にもいつか必ずお別れは来る。ジャンルイジ・ブッフォンアンドレス・イニエスタは「心のチーム」を去ったし、チェルシーで言うならジョン・テリーの例もある。

いつか来てしまうお別れなら、誰もが納得できる形でしてほしいものである。

 

さてW杯で自身の価値を世界中に見せつけたアザール

3位決定戦でのゴールは彼の2018ロシアW杯最後の輝きだった。ジョーンズを2タッチで振り切り決めたこのゴール。奇しくもFA杯決勝でウイニングゴールとなったPK獲得のシーンを彷彿とさせる。あれがアザールチェルシーでの最後のゴールになるのかはわからない。しかしそのFA杯を含めこの6年の間、たくさんのタイトル獲得にアザールが多大な貢献をしてくれたのは紛れもない事実である。

 

だから唯一お願いがあるならばバルセロナには行ってくれるなよ、ということだけかもしれない。きっとアザールを「連れてきた」コートジボワールの英雄は放送禁止用語を連発してしまうだろうから笑

 

~おしまい~